Jul 29, 2015

農産物直売所リデザインプロジェクト

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農産物直売所リデザインプロジェクト

「農産物直売所」は,地域住民のための,地域住民の手により支えられる,地元食の守り手です.地元農産物が外国産や工場産の農産物に,家での料理や伝統食がコンビニエンスストア惣菜にとって代わられつつあるなかで,地域の農業者の手により,全国各地に,農産物直売所”誰もが挑戦し収入を得られる身近な農産物販売の場”と、”地元住民が地元の農産物を当たり前に手にれられる場”が展開されています.カメラボでは,個店のハードソフト・コミュニティにおける再生(リデザイン)と,個店にとどまらないエリア連携に向けて,食・農法・農業経済・建築空間デザイン・グラフィックデザイン・情報発信プランニング等,多角的な専門分野から,個店の改善は勿論のこと,国道沿線連会からエリアコミュニティの資産となるような農産物直売所の在り様を実践研究しています.

分野:農産物直売所

■フィールド 

KUファームリデザインプロジェクト(島根県雲南市K町)
R54食農連携プロジェクト(島根県飯南町~広島県三次市R54沿線)

■現状
中山間地域における「農産物直売所」は、農家所得の向上と、誰もが挑戦し手応えを得られる“いきいきとした農業”の取戻しにあります.それは,都市部には存在し得ない中山間地域ならではの産業の在り様かもしれない.そして,今日,”自ら商品価値を見出し,消費者の声を聞き,価格設定し・規格を作り・販売の工夫ができる「農産物直売所」”を舞台として,量販店ではみられない豊かな品揃えが実現し、数々の個性的な商品が生み出され、消費者から絶大な支持を受けるようになってきている.
言い換えれば,「農産物直売所」という市場流通外の販路が,出荷農業者の販売チャネルを増やし,有利販売にも寄与しようとしている転換期でもる.

■課題 
農業者が自分達の挑戦と張り合いと有利販売の実現の場として「農産物直売所」を発展させ,さらに皆で育てた地域の宝物を次世代に引き継いでいくためには,大きく次の側面に目を向けていく必要がある.
1つ目は,「農産物直売所」を“地元住民をより大切な顧客とし,地域市場の中心点”として再構築していくことである.
2つ目は,“自らデータを取り、科学的・創造的な経営体質をつくることと,その実現のために必要な地域人材が参画できる経営体制をつくること”.
3つ目は,“販売”の側面としては,顧客属性やニーズの把握が必要,“組織づくり”の側面では、自らデータを取り、活用して成果を生み出すことへの積極的意識を育み,ノウハウを蓄積していくこと.
4つ目に,“経営”の側面として,日々の店舗運営,出荷調整,集客効果や光熱費など運営経費を考えた店舗設計や,加工施設と連携した計画的な商品開発,地域内循環を促す,より広い視角から取り組みを展開できる体制づくり・人材育成と世代交代を含めた,体質改善が必要であると考えている.

■方向性 
大きく二つの局面に対して,専門家集団としてアプローチを試みている.
1つは,KUファームのようなハード・ソフトの両面から個店の魅力化アップを図ること.
2つ目は,個店と個店の連携の仕組みづくりを進めながら,点から線へ(国道沿線等),線から「エリア」という面への展開である.
共に,農産物直売所の魅力化UPの試みは,共通して,出荷生産者のモチベーションを上げる事,後継者育成にある.とにもかくにも,出荷生産者側の自力を底上げすることで,地域経済のバランスをとっていく必要があり,いずれの視点からも,根源的な課題解決のために2つの側面からアプローチしている.また,カメラボ独自の実験圃場や実験店舗等への展開を実証実験することで,成果の「見える化」を図りながら,広域的な波及効果を促すための長期的なビジョンも持っている.

(ファシリテーションアーキテクト:しまどっち.)

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